木村式自然栽培の定義  ((秋則 木村)AKメソッド)

 

自然栽培の定義

 

自然栽培(Natural Farming-AK method)

外部から化学肥料、合成農薬、除草剤などの資材を投入せず、自然が持っている力を最大限引き出して栽培を行う農業。

【自然がもっている力】

・土壌微生物活性化による生態系内養分の循環促進⇒養分供給

・非病原性微生物の病原菌抑制効果((競合的排除システムCompetitive Exclusion Principle) )

・多様な微生物と植物の共生(内生菌群)による作物の自然免疫誘導効果

・天敵による害虫防除機能(多様な生物の共生に伴う自然界のバランス維持機能(生物間の相互作用))

 

栽培方法と作物の特徴

 

この栽培の特徴は、自然に任せて放置する農法ではなく、土中の微生物も含め田畑を豊かな自然環境の状態に近づけて「作物が生育しやすいようにお手伝いをする」栽培方法であること。

この栽培によって収穫した作物(米穀、野菜、果物等)は、「腐敗」するのではなく「枯れる」という性質を持ちます。

山中の木々の葉は、地面に落ちて枯れますが、そのままでは腐りません。

自然の力に満ち溢れた生命力のある作物も、同様に腐敗せずに枯れていきます。

 

 自然栽培は有機栽培と違う

 

有機栽培(Organic Farming)

化学肥料や合成農薬などの資材の代わりに天然資材を投入して栽培を行う農業。

<天然資材…利用できる資材が日本の法律で決まっている>

・肥料として塩化カリ、硫酸カリ、炭酸カルシウム等

・農薬として木酢、硫酸銅、硫黄粉剤等

自然栽培(Natural Farming-AK method)

基本的に化学肥料や未熟堆肥等の栄養資材や、合成農薬、除草剤など、生物を殺す資材等は投入しない栽培。微生物の力を利用するが、外部から有効微生物などを直接投入する農法とは異なる。

自然栽培は土壌の内部から多種多様な微生物が共生できる環境を創り、バランスを整えながら作物本来の力を引き出してその生産性を高める栽培技術。

 

自然栽培は放置栽培と違う 

 

放置栽培は自然のなすまま何も手をかけない農業。

何もしないで放置すると樹木の勢いが弱り、病気や虫の被害を受ける。

自然栽培は各地域の異なる自然環境の中で、「作物の種類(個性)に合わせて最適環境を創る」ために、生産者の細やかな観察と積極的なお手伝いが必要。

その土台となる土づくりは最も大切な第一歩。

 

 自然栽培は第三の農業革命(農業ルネッサンス)

 

・第一の革命「緑の革命」

化学肥料、合成農薬(含;除草剤)、農地整備、品種改良

・第二の革命「遺伝子組み換え作物」

バイオテクノロジー大企業

〜ヒトの都合に合わせ、効率のみを求めた工業的生産〜

・第三の革命「自然栽培」(農業ルネサンス)

自然界本来の姿である生物の多様性とその共生関係を最大限利用し、自然の恵みと生命力が凝集されている食糧生産技術

〜自然界とヒトとが共存する持続的農業生産〜

 

 自然栽培の利点

 

1.低コスト

化学肥料、農薬などの外部資材購入費の削減、それに伴う労働時間の減少

2.安全・安心な農産物

合成農薬、除草剤などの農業資材による健康被害の撲滅

3.地球環境保全

農業生産現場からの温暖化ガス(N2O:亜酸化窒素)の排出抑制

4.生物多様性の保全

農薬、除草剤散布による生物多様性破壊活動の阻止

5. 農地保全、過疎化の防止

安全な食糧生産への喜びと家庭菜園など一般消費者の農業への参入、 耕作放棄地の復元

6.健康増進機能

生命力豊かな食に伴う健康増進

腸管免疫産生向上による生体免疫力向上⇒病気予防に伴う医療費の削減